子ども・からだ・表現-豊かな保育内容のための理論と演習-<改訂2版>

book0034

子ども・からだ・表現-豊かな保育内容のための理論と演習-<改訂2版>

(book0034)

著者

西 洋子(東洋英和女学院大学 教授)
本山 益子(京都文教短期大学 教授)
吉川 京子(金沢大学 教授)

書籍データ

【発行日】 2009年5月8日
【判型】 B-5
【ページ数】  127
【写真図表】 多数

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はじめに

2003年3月に、初版『子ども・からだ・表現』を出版してから、6年の歳月が流れました。この間本書は、多くの保育者に親しんでいただき、「クラスの子どもと一緒に、表現あそびをやってみましたよ」といった、うれしい実践の報告を数多くいただきました。また、保育者を目指す学生たちのテキストとして活用していただき、子どもの感性や表現をどのように育むのかという捉えにくい課題を、個々の学生が実際の活動を通して体験的に理解するための、最初の案内役になることができたのではないかと思っています。一方で著者の中には、こうした現場からの声や授業での学生たちの表現に出会うことで、新たな課題や問題意識が芽生えてきました。そこで今回、内容の一部を加筆・修正し、また2008年に改訂となった「幼稚園教育要領」の解説を盛り込んで、本書の改訂を行いました。

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子どもたちの表現。
子どもは、歌うように語ります。
その語りは、現実と想像の世界を自由に駆け抜け、語るからだは、奔放なリズムで大きく弾みます。子どもの表現の世界は、語りも歌も動きも・・・そのすべてが未分化で、だからこそ生き生きと、そして繊細でもあるのです。

子どもたちの豊かな表現に出会う保育者は、日々その感動で、こころが充たされていくことでしょう。しかしその一方で、子どもの表現が、ドキドキするような体験や、新しい発見、そしてさまざまな人たちとのかかわりによって、一段と鮮やかさを増すことを、深く静かに理解しなければならないのだと思います。
これまで多くの保育者は、子どもたちの感性や表現が、自発的なあそびを通して自然に育まれることを保育の理想としてきました。しかし、そのためには、子どもの傍らでそれを見守り、受けとめ、かかわる保育者自身は、いくつもの課題に意図的に取り組みながら、自らの成長を促すことが必要なのです。

本書は、すでに保育者として子どもと向き合っている方々や、これから保育者を志す学生たちのために、子どもたちの豊かな身体表現の世界を紹介しながら、子どもと保育者が共に表現活動をすすめる意義やその際の具体的な内容を示したものです。

1章「からだの表現、こんなところに・・・あんなところに・・・」(西 洋子)では、著者がこれまで、保育の現場で見聞きした印象的な出来事を、8つの短いエピソードとして記しました。毎日の保育のなかで、子どもたちはさまざまな表現をみせてくれます。そんな瑞々しい瞬間を捉えようと試みた記述を、みなさんひとりひとりの視点で読みときながら、子どもの表現世界への理解を築き、また保育者の援助への思いを膨らませていただきたいと思います。

続く2章「子どもの身体表現の特性と発達」(本山益子)は、身体表現の考え方を分類・整理した章です。これまで、保育における身体表現には、曖昧に語られてきた部分が多くありました。ここでは、「保育」を子どもの生活そのものと捉えたうえで、その身体表現には、「あらわれ」と「あらわし」という2つの側面があることに言及しています。さらに、この「あらわし」と「あらわれ」とが、双方向的に行ったり来たりすることによって、子どもの生活全般に豊かなコミュニケーションが生まれていく事実を、わかりやすく解説しています。

3章「子どもとかかわる柔らかなからだ」(西 洋子)では、保育者が自らのからだを“柔らかな”ものへと耕し、その身体的な感覚から、子どもの世界を捉えなおす意味と可能性を探ってみました。園内研修として、半年間の身体表現のワークショップを体験した新任保育者K先生の事例を追いながら、身体表現でのからだやこころの体験と、自分の保育とを循環させるプロセスの中で、ひとりの保育者が何を感じ、考え、さらに子どもとのかかわりがどのように変わっていったのかを紹介しています。

そして4章「身体表現・共に育む」は、本書の中心部であり、また実際の活動や授業を想定した演習編でもあります。
これまで著者らは、さまざまな園を訪れ、そこで出会った子どもたちや先生方と共に、様々な身体表現を行ってきました。ここでは、そのような営みを通して生まれた活動を、『からだ』、『動き』、『音』、『身近なもの』、『かかわり』、『イメージ』、『物語』の7つのテーマで再構成し、各テーマのもとに具体的な展開例を示しました。
それぞれの活動例を参考にしながら、まずは気軽に、みなさんなりの表現を芽吹かせてみてください。そして子どもたちと共に、思い思いの花を咲かせていってください。

5章「いっしょに表現する活動」(本山益子)では、長年にわたり保育者と研究者が協働して進めてきた実践事例を紹介します。日々の保育において積極的に身体表現に取り組むことで、子どもたちの何がどのように育まれていくのか、また、保育者自身の振り返りが、明日の保育にどのようにつながっていくのかを、事例を通して、より具体的に考えていただきたいと思います.

6章「解説:身体表現をとりまく問題」(吉川京子)では、2008年に改訂となった「幼稚園教育要領」をやさしく解説すると同時に、保育における身体表現の位置づけの変遷を辿っています。保育における表現の今日的な課題がどこにあるのかについて、身体表現のこれまでと新たに加わった内容等から、じっくりと考えてみてください。

いうまでもなく本書は、多くの子どもたちや、先生方、学生たちと一緒に、身体表現を楽しむことによって生まれてきました。ここであらためて、これまで出会ったすべての方々にお礼を申しあげたいと思います。どうもありがとうございました。
そしてこれからも、みなさんひとりひとりの新しい表現によって、本書がさらに育まれていくのだと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

2009年3月
新たな春を感じながら
西 洋子
在庫状態 : 在庫有り
¥2,400(税別)
数量