運動とスポーツの生理学<改訂4版>

book0063

運動とスポーツの生理学<改訂4版>

(book0063)

編著者

北川 薫 中京大学名誉教授 梅村学園学事顧問 梅村学園・中京大学スポーツ将来構想会議議長

著者

府内勇希 熊本学園大学社会福祉学部 准教授
加藤貴英 豊田工業高等専門学校 准教授
加藤 尊 朝日大学保健医療学部 教授
三浦 哉 徳島大学大学院社会産業理工学研究部 教授
宮城 修 大東文化大学スポーツ健康科学部 教授
長澤省吾 星城大学経営学部 講師
大家利之 中京大学スポーツ科学部 准教授
高見京太 法政大学スポーツ健康学部 教授
田中千晶 桜美林大学健康福祉学群 准教授
鳥居昭久 東京保健医療専門職大学 リハビリテーション学部 准教授

書籍データ

【発行日】 2020年
【ページ数】160

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序章 改訂4版によせて

 初版より3版まで,今版の編著者である私がすべて執筆してきた.しかし,10年余前,学長に就任してからは,本書を大学院の授業では使うことはあったが,スポーツ科学の基盤となる学部での授業を担当することがなくなり,学部生との乖離がなんとなく気になるようになった.そこで,改訂4版では,基本的な章立て,項目立てには変わりなく,初版の意図は継続されているが,スポーツ科学教育の最前線で活躍している方々に執筆をしてもらい改訂を行った.
本書の特徴を一言で言えば,生理学をベースとした体力学にある点だ.これまでの運動やスポーツに関する生理学書は,伝統的な生理学書の流れを受け継いでいるようだ.例えば,オストランド(Åstrand)らのTEXTBOOK OF WORK PHYSIOLOGY 第4版では,生物学と筋の生理学から始まっている.また,マッカードル(McArdle)らのExercise Physiology第6版では生理学者の歴史から始まっている.本書は伝統的な生理学は尊重するものの,初版の序にも書いたように,『医学の基礎分野の生理学にその源があることは間違いないが,運動・スポーツの生理学での展開はすでにその伝統的な領域と概念を越えている.今日では,運動とスポーツの科学の根幹として一大領域を占めるに至っている』のである.したがって,本書は体力を生理学的視点と知見から解明することを主眼に置いている.
初版から20年ほどが経過したものの,誠に残念であるが,本書が至らぬ点は脳・神経科学の部分である.この分野は急激に発展しているようであるが,アスリートを指導する現場からみれば,未だ道遠し,である.ほとんどの指導者が必要とするのは「運動の技術」や「動きの読み」に関連する脳・神経系分野の科学的知見であろう.スポーツの指導者が科学知見に物足りなさを感ずるのは,この分野の未解明のためである.
スポーツを大きな面,あるいは立体として捉えた際,科学的知見は点に過ぎない.しかし,指導者は知識と実践を支えに,想像力を働かせることにより,運動やスポーツの指導を行っている.ヒトが泥臭く関与することの現実的な意味は,依然として,ここにある.運動やスポーツの指導現場から見れば,知識だけでは何ともならない指導者の実践と経験が大きな意味を持っていることが分かる.
本書は,体育・スポーツ系の大学での教科書として書かれている.運動やスポーツを愛する方々への一助となれば,幸甚である.
2020年4月
編著者 北川 薫
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¥2,750(税込)
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