スポーツ動作学入門
スポーツ動作学入門
体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ
編著者
石井 喜八(日本体育大学名誉教授)
西山 哲成(日本体育大学身体動作学研究室助教授)
著者
新宅 幸憲(大阪成蹊女子短期大学体育学科教授)
當麻 成人(大阪薬科大学総合科学系環境医療学研究室講師)
藤城 仁音(日本体育大学大学院博士後期課程健康科学・スポーツ医科学系研究生)
林 恭輔(日本体育大学身体動作学研究室研究員)
書籍データ
【発行日】 2002年10月12日
【判型】 B-5
【ページ数】 195
序文
あるスポーツ動作を観察し,自分の感覚をもとにその姿勢や動作を説明したり修正しようとするとき,「重心をもっと前に」とか,「脇をしめて」とか,「もっとためて」...などの言葉がよく使われます.これらの言葉の中には,たとえ意識していなくても力学,解剖学,生理学などの基礎科学の理屈が含まれているといえます.これらの基礎科学に基づいた最近のスポーツ動作に関するデータは非常に価値あるものでしょうし,また非常に興味をそそります.その一方,難しい分析をする場合でも,スポーツを指導する場合でも,まずその動作を肉眼で観察し,分析すべき目の付け所を決める作業はとても大切です.
いま,私たちの目的は,それぞれの基礎科学の最先端知識を得ることではなく,身体運動の観察の観点から動作学をとらえようとすることです.その意味で,この書は「スポーツ動作学入門」としてあります.ここには,走る・跳ぶ・投げるなどの基本動作をもとにした人の動きの見方,とらえ方がまとめてあります.基本となるのは,まず身体各部の物理的特徴を知ること,そして,身体各部を動かしたり止めたりするために,身体のどこに,どのくらいの大きさの力が,どんな方向にはたらいているのかを考えること,そして動作記録の方法とデータの見方を知ることです.みなさんが,この本をみていくうちに,この中にある文章やグラフを抜き出して考えたり,興味をもっている種目の動作に当てはめて説明したり,他者がいうことを理解することにつながれば良いと思っています.