体育・スポーツ分野における実践研究の考え方と論文の書き方

book0058

体育・スポーツ分野における実践研究の考え方と論文の書き方

(book0058)

体育・スポーツ・健康科学テキストブックシリーズ

編著者

福永 哲夫 東京大学名誉教授,早稻田大学名誉教授,鹿屋体育大学名誉教授
山本 正嘉 鹿屋体育大学 教授

著者

會田  宏 筑波大学体育系 教授
笠原 政志 国際武道大学 准教授
金高 宏文 鹿屋体育大学 教授
小林 秀紹 札幌国際大学 教授
高井 洋平 鹿屋体育大学 准教授
髙橋 仁大 鹿屋体育大学 准教授
竹中健太郎 鹿屋体育大学 准教授
土屋  純 早稲田大学 教授
中本 浩揮 鹿屋体育大学 准教授
鍋倉 賢治 筑波大学体育系 教授
前田  明 鹿屋体育大学 教授
道上 静香 滋賀大学 教授
山本 利春 国際武道大学 教授
〈五十音順〉

書籍データ

【発行日】 2018年10月
【判型】 B5
【ページ数】 220
【図表】 図表178

目次はこちらをご覧ください

特長

  • 体育・スポーツ界では、実践研究を本格的に扱ったテキストはこれが初めてと思われる
  • 体育系の大学生が卒論や修論を書く上でも活用できる(とくに学部生の卒業研究に使えるという意義は大きいと思います)
  • 陸上、球技、武道など具体的な種目を様々とりあげて、それらを指導してきたスペシャリストが実践研究のやり方を示している
  • 執筆者は鹿屋の教員の割合が多いものの、他の主要な大学で実践研究に取り組んでいる著名な先生方も書いている

まえがき

日本のスポーツ界に科学が導入されたのは,1964年の東京オリンピックが契機とされています.以来50余年,スポーツにおける科学的な研究は大きく発展してきました.
しかしその一方で,現場で日々試行錯誤する選手やコーチにとって直接的に役立つような「実践研究」の分野に関しては,その発達が取り残されてきた感があります.2020年に二度目の東京オリンピックを迎えるにあたり,この領域の基盤を固め,かつ発展させることは不可欠ともいえる課題です.
科学研究では厳密さや普遍性を追求します.一方,実践現場では,厳密さよりも現実的・即時的な解決を求められ,普遍性よりも個別性の方が重要となります.そしてその答えは,従来型の科学研究だけからでは導くことができません.
このような背景をふまえて,2009年に,本書の編者である福永の提唱により,『スポーツパフォーマンス研究』が創刊されました.以来10年近くが経過して,さまざまなスポーツや体育の分野を対象とした実践研究が少しずつ蓄積されてきました.
ただし課題はまだ多くあります.たとえば,実践研究の論文を書こうとしてもなかなか書けない,あるいはようやく書いても査読者とのやりとりがうまくいかず却下されてしまう,といった問題です.この要因として,実践研究の定義が不明確であることや,従来型の科学研究の書き方との違いが曖昧であること,などがあげられます.そこで,実践研究の定義,あり方,書き方を少しでも明確化したいと考えて作成したのが本書です.
読者対象は,研究者や指導者はもとよりですが,体育学やスポーツ学を学ぶ学生にも理解ができ,彼らが卒業研究などに取り組む際の参考書にもなるものを目指しました.彼らの多くは卒業後に,体育やスポーツの現場で指導に携わります.その際に,実践研究の考え方,具体的な進め方,そのまとめ方を身につけておくことは,極めて重要なことです.
実践研究が扱うべき領域や内容は多彩であり,実践研究を行っている人の間でも,意見の相違はあるものと思います.しかし,実践現場に役立つ研究を世に出すことを願う,という点では共通項を持っています.このような共同体の中で,実践研究という領域を確立していくためには,まず論文を書き,蓄積していく努力が必要です.その上で初めて,よりよい論文とはこのようなものである,という合意が形成されてい くと考えています.
体育やスポーツを学ぶ大学生や大学院生,彼らを指導する教員,実践研究に携わる研究者やそれを目指す者,さらにはすでに現場で活躍している指導者も含めて,本書を活用することで多くの実践研究論文が生まれ,それが蓄積されて,実践研究の発展に寄与することを願うものです.

2018年4月

編集者
福永 哲夫
山本 正嘉

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