脳卒中の臨床神経リハビリテーション~理論と実践~

book0051

脳卒中の臨床神経リハビリテーション~理論と実践~

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編著者

鈴木 恒彦 大阪発達総合療育センター センター長 [医師]
紀伊 克昌 森之宮病院リハビリテーション部 名誉副院長 [理学療法士]
真鍋 清則 東生駒病院リハビリテーション科 課長[理学療法士]

著者

岡﨑 知子 大阪警察病院神経内科 部長 [医師]
小室 幸芳 森之宮病院リハビリテーション部 副部長 [作業療法士]
曾根 政富 順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター リハビリテーション科 技師長 [理学療法士]
高草木 薫 旭川医科大学脳機能医工学研究センター 教授 [医師]
高橋 幸治 森之宮病院リハビリテーション部 主任 [理学療法士]
立松さゆり ボバース記念病院リハビリテーション部 副部長 [作業療法士]
寺澤  健 ボバース記念病院リハビリテーション部 [理学療法士]
中窪美佐緒 ボバース記念病院リハビリテーション部 科長 [理学療法士]
西田 武生 大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科学 助教 [医師]
日浦 伸祐 森之宮病院リハビリテーション部 副部長 [理学療法士]
保苅 吉秀 順天堂大学医学部附属順天堂医院 主任 [理学療法士]
柳原 武彦 大阪大学名誉教授 [医師]
(五十音順)

書籍データ

【判型】 B5
【ページ数】 244
【図表写真】 317
【発行日】 2016年6月刊行

目次

1章 神経リハビリテーションの過去・現在と今後の課題/鈴木恒彦
2章 脳血管障害の病態と治療/岡崎知子・西田武生・柳原 武
3章 姿勢・運動制御の神経学的基盤/高草木薫
4章 ボバース概念と治療原則/紀伊克昌
5章 姿勢制御と運動制御/真鍋清則
6章 システムコントロール/高橋幸治
7章 脳卒中後遺症者の運動学習/中窪美佐緒
8章 姿勢・運動の分析/保苅吉秀
9章 脳卒中後遺症急性期、緊張低下の基礎と臨床/曾根政富
10章 脳卒中後遺症者の緊張亢進の基礎と臨床:過緊張の特徴と治療/寺澤 健
11章 歩行:Locomotion/日浦伸祐
12章 ボバース概念に基づく肩甲帯、上肢、手の治療/小室幸芳
13章 機能的活動:ADL/立松さゆり
14章 基本治療手技/真鍋清則

本書の推薦

脳卒中の急性期治療は、2001年以降脳保護療法や血栓溶解療法、血管内治療法などの発達によって目覚ましい進歩を遂げてきた。一方、慢性期治療についても、日進月歩のリハビリテーション技術の発展によって脳卒中患者の機能予後の改善には目をみはるものがある。特に神経リハビリテーションを単なる機能訓練ではなく、運動学習であるとしたボバース理論は脳卒中のリハビリテーションにも大きな影響を与え続けて来た。脳卒中に関するこの間の急性期・慢性期治療の発展は、脳卒中治療ガイドラインとして、我が国ではこれまで2004年、2009年、2015年版にその都度反映されてきた。このような治療ガイドラインは、臨床試験に基づいて一定の患者集団に対しては確かな治療方向性や指針となるもので臨床診療上極めて重要である。
しかし個々の患者に目を転ずれば、治療ガイドラインは必ずしも日常医療行為を実施するうえで完壁なものとは言えないのも事実である。特にリハビリテーション分野においては、軽症患者については残された自己修正能力によってある程度回復して行けるが、中等度・高度運動障害患者や知覚障害合併患者については、患者個々の自己修正能力に応じたリハビリテーションアプローチの必要度が極めて重要になってくる。そのような臨床リハビリテーション場面では、セラピストの技術力によって患者の機能予後は大きく左右されると言っても過言ではないであろう。このような時代の要請に基づいた「セラピストの力」を高めることで、「リハビリテーションの質」を高めるべく企画された本書は、全ての項目で実践的な記述内容に仕上がっている。大変幸いなことに、本書の殆どの執筆陣は神経リハビリテーションのパイオニアであるボバース理論を実際に日本で日々実践されている全国的にも指導的なセラピスト先生方を中心に執筆されている。本書では上述したガイドラインでは解決できない個々の患者における問題に対して、単なる運動訓練ではなくボバースの運動学習理論 に基づいた熟練講師の治療技術のコツなどについて詳細に勉強できるように記載され ている。したがって本書の理解を深めれば、脳卒中の臨床神経リハビリテーションに 関わる全てのリバビリテーション医は勿論のこと、多くの理学療法士や作業療法士、 言語聴覚士にとっても極めて有用な内容となっている。そのような理由で、私は本書 を脳卒中のリハビリテーションに関係する全ての方々にお薦めしたい。

岡山大学病院 神経内科 教授
阿部 康二

序文(一部抜粋)

 脳卒中治療ガイドライン2015に基づく脳血管障害の病態と治療の考え方が整理され、脳障害後遺症を最小限にする各界の取り組みと進歩は著しい。一方、後遺症に対するリハビリテーションは、EBMに基づく神経リハビリテーションの言葉が氾濫し、その内容はロボットセラピー、ボツリヌス毒素注射、CI運動療法、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)等で占められている。そして急性期に集中して行われるリハビリテーション量が重要視され、そのアウトカムはFIMや数量化された運動機能の利得だけが評価されている。その中では、残念ながらリハビリテーションの質としてのセラピー技術の論議はみられず、一人ひとりの患者さんの顔はみえてこない。このような現況の中で、患者さんの個性的障害を尊重した神経リハビリテーションの本質に迫るべく執筆されたのが本書である。
近代ボバース概念(それを支える神経生理学理論)に基づいて、実際に自らの手で脳卒中患者に触れて治療を実践しているJBITA(日本ボバース講習会講師会)の指導的セラピスト諸氏に、セラピストでなければ書けない迫力ある内容を執筆していただいた。彼らの信念はどんな重度の障害にも言い訳をいわずに立ち向かう挑戦であり、患者から常に新しいことを学ぶ謙虚さであることをここに明記しておきたい。

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