体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学
体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学
(book0044)
編著者
田口 素子 早稲田大学 スポーツ科学学術院
樋口 満 早稲田大学 スポーツ科学学術院
執筆者
海老根直之 同志社大学スポーツ健康科学部
呉 泰雄 松本大学大学院健康科学研究科
麻見 直美 筑波大学体育系
木村 典代 高崎健康福祉大学健康福祉学部健康栄養学科
小清水孝子 福岡大学スポーツ科学部
酒井 健介 城西国際大学薬学部医療薬学科
杉浦 克己 立教大学コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科
高田 和子 (独)国立健康・栄養研究所栄養教育研究部
内藤 祐子 国士舘大学体育学部スポーツ医科学科
長島未央子 鹿屋体育大学体育学部スポーツ生命科学系
藤田 聡 立命館大学スポーツ健康科学部
松本 範子 天理大学体育学部
松本 恵 日本大学文理学部体育学科
横田由香里 仙台大学体育学部
書籍データ
【発行日】 2014年3月4日
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序文
2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックでは、日本選手に対して各競技団体やマルチサポートハウスにおける栄養サポートが展開され、過去最高数のメダル獲得に貢献したことは間違いないが、そこに至るまでに実践されてきた積極的な栄養サポートや食育活動があったればこそと思っている。そして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが決まった今、スポーツ栄養への期待と関心はますます高まってきている。
ところで、スポーツ栄養学の実践領域では、この 10年余りの間にスポーツ栄養学の国際コンセンサスが提示されたり、公認スポーツ栄養士制度が立ち上がったりと、理論面でも体制面でも大幅な進歩があった。また、体育系大学でも栄養系大学でも「スポーツ栄養学」の授業が独立して行われるようになり、「スポーツ栄養学」はわが国においてスポーツ科学の中でも栄養学の中でも確固たる地位を得たと言える。
これまでの「スポーツ栄養学」の授業では「新版コンディショニングのためのスポーツ栄養学」(市村出版)が教科書として多数採用され、公認スポーツ栄養士の養成講習会においてもテキストとして使用されてきた。しかし、スポーツ栄養学の発展につれてその必要性と実践についての知識や技術は、サポートする側とされる側で異なるものへと少しずつ変化してきている。体育・スポーツ系の指導者や学生にとっては、栄養素や食品をどのように摂取すれば競技力向上を成しえるかという、エビデンスに基づいた実践的・具体的な栄養学的ストラテジーに対する関心が高いと考えられる。
一方、管理栄養士、公認スポーツ栄養士や栄養系大学の学生にとっては、栄養サポートを実施するうえで必要な手順や栄養・食事管理も含めた、より専門性の高いスポーツ栄養学の知識と技術の習得が求められるようになってきている。したがって、スポーツ栄養学が普及・定着した現段階において共通の教科書を使用するにはいささか不都合が生じており、体育系、栄養系の教育課程に学ぶ学生や指導者それぞれのニーズに即した教科書を用いる必要があると考えられる。
そこで、本書は原則として、体育・スポーツ科学系学部に所属してスポーツ栄養学研究を積極的に展開している方々を中心に執筆していただいた。本書の執筆陣はご担当いただいた章の内容に対して各段に高い専門的知識と実践経験を持っており、それぞれがスポーツ栄養のエキスパートである。各章ともこれまでにコンセンサスが得られている知見に加えて日本人競技者を対象とした最新の知見も含め、理論面のみならず、日常の競技生活やコンディショニングにおいて実践可能な知識や方法が紹介されている。
体育・スポーツ系指導者・学生の皆さんはもとより、公認スポーツ栄養士の方々にも本書を精読していただき、スポーツ栄養学の最新知識と技術を得るためにご活用いただきたい。そして、本書で学んだスポーツ指導者やサポートスタッフに支援を受けた選手や子どもたちが、2020年に東京で活躍する姿が見られることを願ってやまない。
2013年12月
早稲田大学スポーツ科学学術院
田口素子・樋口 満
田口素子・樋口 満