脳性麻痺のリハビリテーション 実践ハンドブック
脳性麻痺のリハビリテーション 実践ハンドブック
大阪発達総合療育センター スタッフ
編著者
梶浦 一郎 理事長・小児整形外科
神経リハビリテーション
鈴木 恒彦 センター長・小児整形外科・リハビリテーション
執筆者
飯島 禎貴 小児科医長
柏木 淳子 小児科
香月 みよ子 看護部
北村 征治 麻酔科
絹川 美鈴 地域医療連携部
黒澤 淳二 リハビリテーション部
近藤 正子 地域医療連携部
杉浦 みき 看護部
竹本 潔 小児科部長
辻 薫 リハビリテーション部
鶴田 ゆかり リハビリテーション部
出口 奈和 リハビリテーション部
中澤 優子 リハビリテーション部
中村 由貴子 歯科医長
西野 紀子 リハビリテーション部
半田 早織 リハビリテーション部
船戸 正久 副センター長・南大阪小児リハビリテーション病院院長
松井 吉裕 リハビリテーション部
松川 達也 リハビリテーション部
山本 典子 リハビリテーション部
書籍データ
【発行日】 2014年11月刊行
【判型】 B5
コメント
脳性麻痺は出生直後から成人、高齢者までの全生涯にわたり、しかも多くの器官の障害(重い軽いはありますが、殆ど全科にわたる)が合併しています。
脳性麻痺の「リハビリテーション」といえば、非常に困難な活動と思われ、敬遠されがちです。しかし、現実には多数の脳性麻痺児・者が存在し、現在の医療技術では治癒出来ないにしても、障害を悪化させない治療をおこなって、QOLを改善することの出来る具体的な手段は準備されています。
本書は、今ある医療技術を用いた具体的な援助活動をすべての関連分野に理解できるよう、図・写真を多用した実践的ハンドブックを作ることを目指しました。この本の特徴は具体的な手段を示すのに徹し、理論、成績は述べていません。重症児が増加しているので、特に最近必要とされている呼吸・摂食嚥下・側弯・障害児歯科・麻酔・在宅支援体制などの記述を多くしました。
本書を参考にして、多くのリハビリ関係療育者が療育活動を統合していって欲しいと思います。
本書を推薦いたします
昭和大学医学部リハビリテーション医学講座 水間正澄
脳性麻痺のリハビリテーションにおいて遭遇する多様な問題に対応する具体的な方法を教えてくれる本です。筆者の長年にわたる豊富な経験をもとに周産期から始まり生涯にわたり必要とされる援助活動の手段が網羅され、わかりやすく説明されています。多くの図表や写真は日常経験することの多い内容であり、細かな注意点なども加えられており実践的で参考になります。小児領域の障害は整形外科学やリハビリテーション医学においても重要な領域のひとつであり、その代表的な疾患である脳性麻痺診療のポイントがコンパクトにまとめられた本書は整形外科学やリハビリテーション医学の研修における知識の整理にも役立ちます。
周産期、新生児期医療の進歩に伴い、重症児の生命予後が改善され増加しているといわれています。一方では、高齢となった脳性麻痺の方々が地域・在宅で生活される時代となり、様々な場面で脳性麻痺診療のニーズが高まっております。脳性麻痺の診療頻度にかかわらず、整形外科医やリハビリテーション科医をはじめとして障害にかかわるすべての医師が常に診療の傍らに置き活用していただくことをお薦めします。
発刊にあたって
脳性麻痺は出生直後から成人、高齢者までの全生涯にわたり、しかも多くの器官の障害(重い軽いはありますが、殆ど全科にわたる)が合併しています。したがってこれを網羅してリハビリテーション医療の対象とするには、今の年齢別、臓器別の医療にとっては極めて困難な事です。特に最近は全人的観点が必要とされ、その上EBM(証拠に基づく医療)が強調されるに関わらず、疼痛や痙縮に対する治療を除けば、具体的リハビリテーション医療技術は示されていません。この結果、脳性麻痺の「リハビリテーション」と云えば、非常に困難な活動と思われ、敬遠されがちです。しかし、現実には多数の脳性麻痺児・者が存在し、現在の医療技術では治癒出来ないにしても、障害を悪化させない治療をおこなって、QOLを改善することの出来る具体的な手段は準備されています。
そこで、今ある医療技術を用いた具体的な援助活動をすべての関連分野に理解できるよう、図・写真を多用したハンドブックを作ることを目指しました。この本の特徴は具体的な手段を示すのに徹し、理論、成績は述べていません。重症児が増加しているので、特に最近必要とされている呼吸・摂食嚥下・側弯・障害児歯科・麻酔・在宅支援体制などの記述を多くしました。本書を参考にして、若いリハビリテーション医師が多くの分野にも目配りをして、療育活動を統合していって欲しいと思います。また場合によっては、その一部の分野を深く追求して、新しいリハビリテーション技術を創造することも楽しい事です。既存の各科専門医が、リハマインドを持って主治医となり、療育活動を推進して行く事も考えられます。一方、コメディカルの人達には他の職種の活動を理解する情報にもなると思います。このようにして、脳性麻痺のリハビリテーション活動に多くの専門職が携わるようになることを切に希望します。