アダプテッド・スポーツの科学~障害者・高齢者のスポーツ実践のための理論~

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アダプテッド・スポーツの科学~障害者・高齢者のスポーツ実践のための理論~

(book0013)

編集者

矢部 京之助(大阪体育大学大学院スポーツ研究科教授 名古屋大学名誉教授)
草野 勝彦(宮崎大学教育文化学部教授)
中田 英雄(筑波大学人間総合科学研究科心身障害学系教育開発国際協力研究センター センター長、教授)

書籍データ

【発行日】 2004年10月28日
【判型】 B-5
【ページ数】 288
【図表】 172

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まえがき

アジアで最初の第9回障害者ヘルスフィットネス国際会議(9th ISAPA, 1993; 名誉総裁寛仁親王殿下)が横浜市で開催されてから、10年を過ぎようとしている。本書は、その記念事業の一環として出版されたものである。

1977年にカナダのケベックで産声を上げたISAPAは、2年毎に世界の各地で開催され、障害者の体育・スポーツの発展に寄与してきた。2003年の夏には、再びアジア(ソウル、14th ISAPA)に戻ってきた。横浜の地で蒔いた小さな種は、アジア諸国に芽を出し開花しつつある。この折りに、わが国のアダプテッド・スポーツ科学の現状を見つめ、更なる発展の糧とするために本書を世に問う次第である。

アダプテッド・スポーツの研究は発展の途上にある。国際障害者ヘルスフィットネス連盟(IFAPA)にしても設立して四半世紀に過ぎず、アジア障害者体育・スポーツ学会(ASAPE)とて、1986年に旗揚げしたばかりの発育期で、成人の域に達するにはほど遠い状況にある。例えば、人文・社会科学から自然科学までを網羅する研究者が一堂に会して学術大会を開くため、議論は拡散し、焦点化しないことが多い。したがってディスカッションは表面的になり、自身の専門性を深めるまでに至らないのである。
また、アダプテッド・スポーツの実践研究と基礎研究、つまり実践と理論の間に大きな溝が横たわっている。アダプテッド・スポーツ研究が未熟な段階にあることは否めないが、だからこそ、この分野を志す者にとってはそれがひとつの魅力になっている。分野の違いを越えて相互理解を図り、実践と理論の溝をうめるためには、客観的な資料に基づいて心身に障害のある人や高齢者のニーズに応える研究が不可欠である。このような学術発表の増えることを期待して止まない。

アダプテッド・スポーツの状況を舞台の演出に見立てると次のようになろう。ステージの中央に立ってスポットライトを浴びるのは障害のある人や高齢者などのスポーツや身体活動であり、色鮮やかなスポットライトを当てる役は裏方の実践家や研究者である。スポットライトの種類は、体育学やら、教育学や、社会学や、心理学、生理学、バイオメカニクス、工学、医学、その他の分野であり、それぞれのスポットライトがスターに向けられる。スポットライトの数が多ければ多いほどスターは引き立つ訳である。

本書は、障害者・高齢者のスポーツ実践を進める際の科学的支援について、多くの視点から著したものである。アダプテッド・スポーツに関わる人たちのハンドブックとして役立つことを願う次第である。

平成15年7月吉日
編集者 矢部 京之助・草野 勝彦・中田 英雄

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