1章 ヒトにおける運動学習による脳の変容 ~脳のreorganizationと練習効果のconsolidation~ 大築 立志
1.練習による脳の再組織化
2.練習効果のconsolidation
2章 神経細胞レベルのシナプス可塑性 ―海馬と小脳におけるシナプス可塑性― 遠藤 昌吾
1.はじめに ―神経可塑性と記憶―
2.神経可塑性 ―記憶を支える細胞機構―
3.陳述記憶の中枢・海馬における神経可塑性 ―LTPとLTD―
(1)NMDA型受容体依存性の海馬CA1領域のLTD
1)LTPの特性 ―連合性,共同性,入力特異性,タイミング―
2)LTP,LTDの鍵となる分子たち ―Ca2+と2つのグルタミン酸受容体,NMDA型受容体とAMPA型受容体―
3)海馬CA1領域のLTPの分子機構
(2)NMDA型受容体依存性の海馬CA1領域のLTD
(3)NMDA型受容体に依存しない海馬CA3領域のLTP
(4)後期LTP,LTDを支える分子機構
1)中期LTPとLTD
2)後期LTPとLTD
4.非陳述記憶の中枢・小脳における神経可塑性 ―LTPとLTD―
(1)平行線維 ―プルキンエ細胞間のLTD
(2)平行線維 ―プルキンエ細胞間のLTP
(3)平行線維 ―プルキンエ細胞間のLTP,LTDのどちらが小脳依存性の記憶に必要なのか?
(4)小脳平行線維−プルキンエ細胞間のLTDの分子機構
1)初期LTDの分子機構
2)中期,後期LTD
(5)小脳で観察されるその他の神経可塑性
(6)小脳依存性長期記憶と記憶痕跡の移動
5.おわりに ―神経可塑性と記憶を支える分子機構の解析
3章 ヒトにおける姿勢の学習・記憶 進矢 正宏
1.ヒトの姿勢制御の研究方法
2.初回効果(First-trial effect)
3.機能的姿勢制御学習
4.姿勢制御学習結果の長期保存
5.姿勢制御学習に対する数理的なアプローチ
4章 姿勢における学習・記憶の神経基盤 山浦 洋,柳原 大
1.フィードバック姿勢制御における中枢神経系の関与
2.フィードフォワード姿勢制御における中枢神経の関与
3.ヒトにおける姿勢制御の適応・学習と中枢神経系の関与
4.姿勢障害の改善と中枢神経系の可塑性
5章 眼球運動(反射性眼球運動)における学習・記憶の神経基盤 加藤 明
1.反射性眼球運動の役割と制御系
(1)前庭動眼反射 (vestibulo-ocular reflex: VOR)
(2)視運動性眼球反応 (optokinetic response: OKR)
2.反射性眼球運動の協調による視野安定化
3.様々な反射性眼球運動適応学習
4.反射性眼球運動適応学習の神経基盤
(1)責任部位-小脳と前庭神経核-
(2)可塑性メカニズム-LTDとLTP-
(3)細胞ごとの特性-LTD と LTD-
5.記憶のメカニズム
6章 眼球運動(随意性眼球運動)における学習・記憶の神経基盤 小野 誠司
1.Smooth pursuitの特性とメカニズム
2.運動学習における誤差信号の役割
3.運動学習におけるNOTニューロンの役割
4.NOT微小電気刺激が運動学習に及ぼす影響
5.誤差信号の特性と運動学習の神経回路
6.運動学習が大脳皮質視覚性ニューロンに及ぼす影響
7章 ヒトの歩行・走行における学習・記憶 小川 哲也
1.左右分離型トレッドミルを使用したロコモーション適応学習実験の概要
2.ロコモーションの適応学習に内在する神経メカニズム
3.分離条件での適応学習に基づいたトレーニング介入の可能性
4.適応学習の汎化にみるロコモーション動作の課題特異性
8章 歩行の学習・適応における小脳機能 柳原 大
1.歩行制御系における脊髄小脳ループ
2.運動学習としての回転棒課題と小脳障害
3.Splitbelt treadmill上での歩行の適応学習と小脳の役割
9章 随意運動における制御と学習の計算論的神経科学 田中 宏和
1.運動制御の計算論モデル
(1)内部順モデル
(2)最適フィードバック制御モデル
2.運動学習の計算論モデル
(1)運動誤差に基づく運動適応
3.運動制御の神経回路モデル
(1)第一次運動野の内部フィードバック制御計算:空間表現モデル
(2)小脳の内部順モデル計算:カルマンフィルタモデル
10章 運動の制御と学習におけるオンライン修正とオフライン修正の役割 林 拓志・野崎 大地
1.2つの運動修正機構
2.潜在的なオンライン修正機構とその性質
3.潜在的なオフライン修正機構とその性質
4.オンライン修正とオフライン修正の関係
5.脳と2つの動作修正機構
11章 運動の学習研究の温故知新 大築 立志
1.はじめにー運動制御研究の流れ
2.運動学習の古典的原理
(1)反復
(2)動機付け
(3)休憩
(4)オーバーラーニング
(5)メンタルプラクティス
(6)転移
(7)フィードバック
3.おわりに ―神経生理学からみた運動技能向上課程の特性との関連
12章 手の外科のリハビリテーションにおける学習と記憶 井上 健
1.手指の動きと機能
2.手の運動機能
(1)随意運動
(2)安定性
3.手の感覚機能
4.手の外傷後のリハビリテーションで考慮すべきこと
(1)関節可動域と筋力増強訓練
(2)物品操作における手(外部環境との接点)
(3)装具療法
5.手の外科のリハビリテーションの実践報告
6.リハビリテーション介入
(1)関節可動域確保(上肢全体の運動要素として)
(2)知覚運動アプローチ(物品を用いて)
(3)リハビリテーション終了時(2カ月後)
13章 脳性まひ児の療育支援における運動学習と記憶 金子 断行
1.発達と学習
(1)運動学習
(2)発達の課題
(3)多重感覚入力
(4)運動の課題
(5)こどもの療育支援
2.姿勢コントロールの発達
(1)安定性
(2)オリエンテーション
(3)多関節運動連鎖活動
(4)身体図式
3.脳性まひ児の療育支援
(1)事例報告
(2)療育支援の実践
1)背臥位での骨盤後傾
2)足底への多重感覚情報入力
3)骨盤と骨頭の解離
4)座り込み運動の学習
5)立ち上がり運動の繰り返し
6)結果
14章 脊髄不全損傷ケースの歩行改善における運動学習と記憶 鈴木 三央・橋谷裕太郎
1.症例紹介[MBCPによる評価(手術後約2ヵ月経過時)]
(1)機能的運動分析
1)感覚運動経験
2)姿勢制御
3)選択的運動と運動のつながり
(2)熟練した促通
1)ハンドリング
2)言語的
3)環境
(3)臨床推論
1)運動診断
2)治療のための有用な作業仮説の選択
3)潜在能力の確認
2.介入プログラム
3.再評価(手術後約4ヵ月経過)
(1)退院時のSTS
(2)臨床推論(仮説)の確認
4.考察
(1)最適な立位を目指した弱化筋群への対応
(2)姿勢制御
(3)歩行機能の再学習
(4)感覚入力による脊髄の可塑性
(5)ハンドリングによる介入を通した運動学習と記憶