Ⅰ部 転倒に関わる神経機構
1章 前庭器官の働きとその障害 山中 敏彰
1.前庭器官の構造
(1)半規管
(2)耳石器
(3)前庭神経
(4)前庭神経核
2.前庭器官の機能
(1)半規管
(2)耳石器
(3)前庭系の平衡制御機構(半規管,耳石器)
3.前庭器障害とめまい平衡症状(発生メカニズム)
4.前庭障害と回復機転(前庭代償)
(1)前庭代償とは
(2)代償の過程と神経機構
(3)前庭代償の臨床
5.前庭障害と転倒・よろめき(重心シフト検査による評価と応用)
2章 前庭脊髄路の神経機構 杉内 友理子
1.姿勢反射
(1)除脳固縮と姿勢反射
(2)姿勢反射の分類
(3)緊張性頚反射
(4)迷路反射(前庭反射)
(5)頚反射と迷路反射の相互作用
2.脊髄の基本構造
3.2種類の運動性下行路
4.前庭神経核の分類
5. 2種類の前庭脊髄路
(1)内側(MVST)および外側前庭脊髄路(LVST)の起始核
(2)前庭脊髄路の脊髄運動神経核への投射様式
6.前庭脊髄路の脊髄運動ニューロンの及ぼす作用
(1) 下肢筋
(2)頚筋
(3)胸背部体幹筋
(4)上肢筋
3章 動物モデルからみた転倒の神経機構 柳原 大・鴻巣 暁・瀬戸川 将
1.脊髄小脳変性症3型モデルマウスにおける姿勢制御機能の障害
2.小脳障害と予測的姿勢調節
3.ラットの後肢2足立位姿勢とその予測的姿勢調節の数理モデルを用いた解析
4.アルツハイマー型認知症における歩行制御機能と障害よ転倒
5.アルツハイマー型認知症モデルマウスにおける記憶誘導型歩行の機能減退
4章 転倒に関わる運動制御機構:健常者における実験から〜 進矢 正宏
1.物理的に不安定なヒト二足立位
2.姿勢に与えられる摂動と摂動に対する制御機構
3.身体内部のノイズによる微小な摂動
(1)足圧中心動揺
(2)静止立位における制御モデル
(3)定常歩行中のばらつき
(4)予測可能な摂動を補償するための姿勢制御
(5)身体外部からの摂動に対する姿勢制御
(6)摂動を避けるための適応的歩行制御
Ⅱ部 高齢者における転倒とその予防
5章 高齢者における認知機能低下と転倒 桜井 良太
1.認知機能と歩行機能
(1)認知機能と歩行機能:疫学的知見
(2)認知機能と歩行機能:解剖学的および病理学的共通性
(3)認知機能と歩行機能:介入研究
(4)認知機能と歩行機能:身体活動の影響
2.転倒発生に関与する認知機能低下
(1)歩行に影響を与え,協働して転倒発生に関与する認知機能
(2)独立して転倒発生の関与する認知機能
6章 高齢者の転倒予防のための運動・認知介入 大久保 善郎
1.運動・認知介入の定義と分類
(1)デユアルタスクトレーニング
(2)ステップ訓練
(3)エクサゲーム
(4)ダンス
2.運動・認知介入による転倒予防効果
3.運動・認知介入の転倒予防機序
(1)運動・認知介入の 身体機能への効果
(2)運動・認知介入の認知機能への効果
(3)運動・認知介入の構造的神経可塑性への影響
(4)運動・認知介入が調整力に与える影響
4.運動・認知介入へのアドヒアランス
7章 高齢者における種々の神経疾患と転倒 井上 桂輔・柳原 大
1.各疾患における有病率と病態
2.各神経疾患における重症度と転倒頻度との関係
3.各疾患にける運動機能と転倒との関係
4.各疾患における転倒と認知機能および高次脳機能障害との関係
5.各疾患における脳機能の代償について
6.急性疾患と進行性疾患および脳卒中の病期における転倒と運動機能との比較
7.各神経疾患における転倒予防の介入例
Ⅲ部 転倒予防のためのリハビリテーション
8章 転倒予防に役立つ運動・バランス練習 真鍋 清則
1.バランスに必要な要素
(1)感覚
(2)筋力・関節の可動域・可動性・安定性
(3)姿勢と運動の協調性
(4)支持基底面(BOS),質量中心(COM), 安定性限界(LOS)の関係
(5)先行随伴性姿勢調節
(6)認知機能
2. バランス評価
3. 背臥位の運動
4. 坐位の運動・バランス練習
(1)骨盤の垂直位保持と後方傾斜
(2)骨盤の側方傾斜と上肢の保護伸展反応
5.立位の運動・バランス練習
(1)立位の垂直位・対称性姿勢保持の確認
(2)継ぎ足立位(タンデム立位)の保持
(3)立位から座位(着座)
(4)つま先立位のバランス練習
(5)一側下肢立位(SLS)のバランス練習
(6)ステップ立位のバランス練習
(7)一側下肢つま先立位のバランス練習
(8)下肢交叉立位のバランス練習
(9)後方体重移動のバランス練習
(10)立位バランスの応用練習
6.歩行のバランス練習
(1)不安定な支持面の歩行バランス練習
(2)方向転換の補講バランス練習
(3)頭頚部の回旋を伴う歩行バランス練習
9章 立ち座り動作・リーチ動作と転倒不安感 北山 哲也
1.心理的要因が及ぼす影響
2.転倒リスクがある対象者は,なぜ離殿が難しいのか?
3.骨盤前傾運動に伴う体幹伸展の重要性
4.立ち上がり動作における足部の重要性
5.立ち上がり動作におけるリーチ動作(肩甲帯,上肢機能)の重要性
6.立ちながら歩く(STW)
7.生活場面を想定して“転ぶ練習“:加速度に応じた体幹と頭頚部の立ち直り活動と回旋運動. 肩甲帯のプロトラクション