はじめに 村岡 功
1章 スポーツとスキル [大築 立志]
1 強さと巧みさ
2 スキルと運動制御
3 スキルと体力の関係
4 技術・技能・体力の関係
5 スキルの生理学的メカニズム
1.運動と神経系
2.巧みな動作の神経調節:上手な動作と下手な動作の違い
3.上達の脳・神経メカニズム:からだで覚えるとは脳で覚えること
2章 スポーツと体力 [長澤 純一]
1 体力とはなにか
1.体力を定義する試み
2 スポーツにおける体力
3 行動体力を構成する要素
1.行動を起こす能力(筋力のカテゴリー)
(1)筋力(strength, muscle strength, muscular strength)
(2)筋パワー(power, muscle power)
2.行動を持続する能力(持久性のカテゴリー)
(1)筋持久力(muscular endurance)
(2)全身持久力(endurance)
4 行動を調整する能力(神経機能のカテゴリー)
(1)平衡性(balance)
(2)敏捷性(agility)
(3)巧緻性(skill)
(4)柔軟性
5 スポーツにおける基礎体力と健康関連体力の関係
3章 スポーツと遺伝 [福 典之]
1 遺伝の基礎
1.遺伝とゲノム・遺伝子・DNA
2.遺伝子多型
2 運動能力の遺伝率
1.力・筋パワーの遺伝率
2.最大酸素摂取量の遺伝率
3.筋線維組成の遺伝率
4.競技力の遺伝率
3 運動能力に関連する遺伝子多型
1.ACTN3遺伝子R577X多型と運動能力
2.ACE遺伝子I/D多型と運動能力
3.ミトコンドリア遺伝子多型と運動能力
4章 スポーツと環境 [能勢 博]
1 高地環境
1.体力への影響
2.高地トレーニング
2 暑熱環境
1.運動時の放熱機構
2.熱中症とは
3.暑熱馴化トレーニング
3 寒冷環境
1.寒冷反応
2.低体温症
3.寒冷適応
4 水中環境
1.息こらえ潜水
2.スキューバ・ダイビング
3.高圧ガス呼吸による障害
5章 生体リズムとスポーツ [内田 直]
1 背景
2 生体リズムに関連する基本的な知識
1.サーカディアンリズム
2.スポーツパフォーマンスのサーカディアンリズム
3.ジェットラグ症候群について
3 生体リズムの位相をシフトさせる方法
1.位相シフトの方向
2.光による位相シフト
3.メラトニンによる位相シフト
4 ジェットラグ症候群の克服
1.西向き飛行と東向き飛行
2.ジェットラグ症候群克服のための位相シフト
3.移動時の過ごし方など
4.その他の要因
5 今後の課題
6章 スポーツとエネルギー代謝 [八田 秀雄]
1 3種類のATP産生機構
1.3つのATPの作られ方が対等にあると考えない
2.無酸素運動はあり得ない
3.クレアチンリン酸=無酸素と単純に考えない
4.球技ではクレアチンリン酸を使い,再合成する
5.体内に酸素がそれなりにあり,なくなったら疲労困憊
6.400m走で3つのエネルギー供給を考えてみる
7.短距離選手にマラソンのトレーニングをしろということではない
2 エネルギー源としての糖と脂肪
1.糖と脂肪の観点
2.糖の特徴
3.脂肪の特徴
4.運動強度による糖と脂肪の利用比率変化
5.LT(乳酸性作業閾値)
6.運動開始時にも少し糖の利用が高まる
7.マラソンでは糖の量の低下が大きく影響する
8.球技でも起こる
9.過剰に糖を貯蔵したらよく動けるのか
10.マラソンの最後まで糖を持たせるには
11.酸素摂取だけでなく,糖からの視点も
7章 スポーツと栄養およびサプリメント [杉浦 克己]
1 スポーツと5大栄養素
1.エネルギー
(1)糖質
(2)脂質
2.カラダづくり
(1)タンパク質
(2)ミネラル
3.コンディショニング
(1)ビタミン
2 食事の基本は「栄養フルコース型」
3 スポーツのシーズンと食事内容
4 ジュニアアスリートと女性アスリート
1.ジュニアアスリートの栄養
2.女性アスリートの栄養
5 サプリメント
1.サプリメントとは何か
2.サプリメントの種別
(1)プロテイン
(2)ミネラル類
(3)ビタミン類
(4)分岐鎖アミノ酸
(5)コラーゲン
(6)クレアチン
(7)糖質(ブドウ糖,マルトデキストリン)
3.サプリメントの有効性・安全性
8章 スポーツと減量および体重調節 [田口 素子]
1 スポーツにおける減量の実態と問題点
1.持久系競技および記録系競技の減量の実態と問題点
2.審美系競技の減量の実態と問題点
3.体重階級制競技の試合前の減量の実態
4.よくある間違った減量方法と共通する問題点
2 減量がパフォーマンスおよびコンディションに及ぼす影響
1.減量が体力・パフォーマンスに及ぼす影響
2.減量がコンディションに及ぼす影響
3.減量が内分泌に及ぼす影響
3 減量に伴う身体組成の変化とエネルギー・栄養摂取
4 スポーツ現場での適切な減量実践と今後の課題
1.現実的な目標設定と減量のマネジメント
2.エネルギー密度を考慮した具体的エネルギー調整方法
3.三大栄養素の摂取とエネルギー比率
4.食事の摂取パターン
9章 スポーツ活動中の水分補給:喉の渇きに応じて [伊藤 静夫]
1 スポーツ活動中の水分補給をめぐって
1.水分補給は是か非か?
2.水の飲み過ぎによる弊害=水中毒
3.水分補給ガイドラインの変遷
2 脱水とパフォーマンス
1.2%の脱水=自発的脱水
2.自発的脱水はパフォーマンスを低下させるか?
3 スポーツ現場での水分補給の実態
1.エリートランナーの水分補給
2.子どもの水分補給
4 水分補給と中枢機能
10章 スポーツと体力トレーニング [村岡 功]
1 パフォーマンス向上とトレーニング
2 トレーニングの原理・原則
1.トレーニングの原理
(1)過負荷(オーバーロード)の原理
(2)可逆性の原理
(3)特異性の原理
2.トレーニングの原則
(1)全面性の原則
(2)意識性の原則
(3)漸進性の原則
(4)反復性の原則
(5)個別性の原則
3 トレーニング効果の得られやすさに影響する要因
4 体力トレーニングの方法
1.骨格筋機能(筋力・筋パワー・筋持久力)を高めるための方法
(1)レジスタンス・トレーニング
(2)レペティション・トレーニング
(3)プライオメトリック・トレーニング
2.全身持久力を高めるための方法
(1)インターバル・トレーニング
(2)定速(持続)トレーニング
(3)ファルトレク・トレーニング
(4)高地トレーニング
3.オールラウンドな体力向上を目的とした方法
5 トレーニングと栄養・休養
11章 スポーツとウオームアップおよびクールダウン [内丸 仁]
1 ウオームアップの必要性
1.ウオームアップの生理学的効果
(1)体温や筋温の上昇とそれに伴う生理的・代謝的機能の亢進
(2)運動に対する呼吸循環応答の改善
(3)運動時の神経機能の亢進,神経筋協調能の改善
(4)柔軟性の向上
(5)傷害予防
2.ウオームアップの種類と効果
(1)一般的W-up
(2)専門的W-up
2 クールダウンの必要性
1.クールダウンの生理学的効果
(1)筋ポンプ作用による静脈帰還血液量の確保
(2)疲労物質としての乳酸の除去
(3)運動後の過剰換気の防止
2.クールダウンの種類と効果
(1)C-dnの強度や時間
(2)C-dnとしてのストレッチおよびマッサージ
12章 スポーツと骨格筋機能 [川上 泰雄]
1 骨格筋の形態的・機能的特性とトレーナビリティ
2 筋線維組成と競技特性の関係
3 筋収縮と関節パフォーマンスとの関係
4 筋腱複合体の形状と機能
13章 スポーツと脳機能 [彼末 一之]
1 伸張反射
2 姿勢調節
3 運動イメージ
14章 スポーツと呼吸循環機能 [林 直亨]
1 呼吸循環系による酸素運搬とその調節
1.Fickの原理
2.呼吸の調節
3.循環系の調節
(1)心臓の調節
(2)血管の調節
(3)静脈と筋ポンプ
2 動的運動時の呼吸循環系の応答
1.換気の応答
2.心拍数の応答
3.一回拍出量の応答
4.心拍出量
5.末梢血流量
6.動静脈酸素較差
7.血圧の応答
3 レジスタンス運動時の循環系の応答
4 運動トレーニングに伴う適応
1.肺と換気応答の適応
2.心臓の適応
3.血管の適応
15章 スポーツとディトレーニング [大森 一伸]
1 ディトレーニングの定義
2 身体組成への影響
3 筋機能の応答
1.筋力の変化
2.筋線維の応答
3.筋線維タイプの移行
4.筋力トレーニング後のディトレーニングの積極的効果
4 持久能力の応答
1.持久パフォーマンスの応答
2.最大酸素摂取量の応答
3.骨格筋代謝機能の応答
5 ディトレーニングに影響する要因
16章 スポーツと疲労 [橋 英幸・山中 亮]
1 疲労の原因
1.中枢性疲労の原因
(1)中枢から活動筋への指令の低下
(2)末梢からの求心性情報伝達の増加
(3)意識・動機付けや精神疲労の影響
2.末梢性疲労の要因
(1)興奮—収縮連関機能低下
(2)代謝的変化
2 短時間・高強度運動における疲労
3 持久性運動における疲労
4 疲労を抑制するために
17章 スポーツと酸化ストレス [奥津 光晴]
1 酸化ストレスの種類
2 酸化ストレスの除去
3 抗酸化酵素の生理学的な重要性
4 運動と酸化ストレス
5 スポーツと酸化ストレス
6 運動による抗酸化機能改善の分子メカニズム
18章 スポーツとオーバートレーニング [鳥居 俊]
1 オーバー卜レーニング症候群の概念と症状
2 オーバートレーニング症候群の発生メカニズム
1.Fosterのmonotony仮説
2.自律神経不均衡
3.Central fatigue hypothesis
4.サイトカイン仮説
3 オーバートレーニングと循環器
4 オーバートレーニングと運動器
1.オーバートレーニングと内分泌
2.オーバートレーニングと免疫
3.オーバートレーニングと心理
5 オーバートレーニングの治療と予防
19章 女性アスリートにおけるスポーツ医学的諸問題 [難波 聡]
1 女性アスリートと月経
1.月経とは
2.月経周期とコンディション
3.月経移動によるコンディショニング
4.月経困難症への対応
(1)概要
(2)症状と診断
(3)治療方法
2 女性アスリートの無月経
1.女性アスリートの成長段階と月経
(1)少女期~思春期(9~18歳ころ)
(2)性成熟期(18~45歳ころ)
2.女性アスリートの月経状況
3.女性アスリートの三主徴
4.無月経の診断と骨密度
5.低エストロゲン状態に対する治療
(1)ホルモン補充療法
(2)低用量ピル(OC)を用いる場合
6.無月経の要因と予防
(1)精神的ストレス,トレーニング強度,体脂肪率
(2)Low energy availability
(3)思春期のアスリートへの対策
7.無月経アスリートのその後の妊娠
3 女性アスリートと性別問題
1.性別検査の歴史
2.「高アンドロゲン女性競技者」の概念の登場
3.日本国内で今後留意すべきこと
20章 スポーツとドーピング [村岡 功]
1 ドーピングとアンチ・ドーピング運動の歴史
2 ドーピングの定義
3 ドーピングを禁止する理由
4 薬物を使用する背景
5 ドーピング禁止物質と禁止方法
6 ドーピング検査の手順
7 アンチ・ドーピングに向けて